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とです。赤血球の寿命は平均120日ですから、きょうこの検査をしますと、過去を振り返って大体1、2ヵ月間、どの程度のブドウ糖濃度にこの血色素がさらされていたかということが、この数値で判断できるということになります。随時血糖の血糖値を200までスッと上げて、そして2ヵ月間200という高いレベルの血糖値を維持しておくと、HbAlcは9%まで上昇してきます。ということは、1%のHbAlcの上昇というのは、血糖値に直すと約30mg/dlから40mg/dl程度の血糖レベルの上昇に見合うということになるわけです。
そういう見方をすると、HbAlcが治療して1%下がったということは、平均的に見て血糖値が30mg/dl下がったという解釈になります。ですから血糖マーカーとして1回だけの検査で、平均的な血糖の動きが過去を振り返って1、2ヵ月のレベルで把握できる非常に良い、便利な検査であるわけです。
以前は、患者さんは病院、診療所に受診予約の日の2、3日前から一生懸命食事を控えるなどしてきたわけですから、血糖値は当然下がるわけです。確かに空腹時の血糖値は通常のときよりも20mg/dl、30mg/dlと下がっています。その状態でかつては血糖だけでコントロールを評価していましたので、一夜漬けともいえる減食による姑息な効果を見破れなかったのですが、いまはそういうことをしたとしても、このHbAlcのレベルは変わりませんから、一夜漬けの食事などは簡単に見破ることができるということも副産物として出たことが、このHbAlc検査によって得られた出来事だったわけです。
ほかにも血糖マーカーはあります。フルクトサミン、グリケイテッドアルブミン(糖化アルブミン)、1.5−AGアンヒドログルチトールなどです。これらにはそれぞれ特徴があって、過去を振り返って見ている血糖レベルの教えてくれる時期というのは、たとえばフルクトサミンの場

 

 

 

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